ビジネス領域やマーケティング領域において、CX(カスタマーエクスペリエンス)という言葉が聞こえてくることが多くなってきました。CXとは、どのようなものなのでしょうか。
また、CXを活用することでビジネスチャンスは多くなってくるのでしょうか。
この記事では、「CXとは何だろう?」とご疑問を抱えていらっしゃる方に対して、ご紹介させて頂きます。
CXとは?
CXは、2000年代から知られ始めた考え方で、購入の検討や使用、購入後のフォローアップに至るまでの感情的な価値を重視する考え方です。
CXの定義
昨今、DXやGX、SX、UXなど、さまざまな〇Xが流行ってきています。しかし、これらの概念と、CXは異なっています。以下はそれぞれの正式名称です。
・DX:デジタルトランスフォーメーション
・GX:グリーントランスフォーメーション
・SX:サステナビリティ・トランスフォーメーション
・UX:ユーザーエクスペリエンス
・CX:カスタマーエクスペリエンス
となっております。つまり、DXとGX、SXはそれぞれが似たような価値観を基にしていますが、UXやCXとは異なることが分かります。
UXは、ユーザーが商品やサービスに触れている瞬間を指すことがありますが、CXとは先述のように、購入前から購入後までを考えていく価値観となります。
ビジネス効果改善に向けた過去事例とCX向上
例として、シューズメーカーNikeは、CXを成功した事例の1つだとされています。Nikeは、CXを重視するDX化により、その全売上高の24%をデジタルチャネルから得た時もあり、これはコロナ禍の2倍以上の規模だとされています。このようなDX化の動きを広義ではD2Cと表現することもあります。これは、卸業者や小売店などを挟まずに、メーカーなどが直接消費者に対してプロダクトを提供する考え方です。
このように、ユーザーと接する時間や、ユーザーの有機的な時間の流れに足して、D2Cを介してアプローチを仕掛けることができます。つまり大きな企業ほど、CXとはDXと切って切り離せないともいえるでしょう。
では、CXとは、中小企業にとっては注視しなくても良いのでしょうか。
それも異なります、中小企業であってもHPなどを介して購入を検討される方がいらっしゃいます。今までは、小売店や卸売業者の限られた商品の中で競争をすればよかったのですが、現代社会では、名だたる大企業とも同じインターネットと呼ばれるフィールドで勝負をしなければなりません。
このような場合は、どのような戦略が必要なのでしょうか。それは、デジタルマーケティングなどに強い企業に依頼を出すことや専門のチームを作ることからが重要でしょう。
このように、CXとは、DXと切っても切り離せないような立ち位置にあるといえるでしょう。
参考:ナイキの顧客体験はなぜすごい デジタル戦略の要は「D2C」にあり
CXを改善するツールやプラットフォームとは
現代は便利なもので、さまざまなツールやプラットフォームが販売や共有されています。CXと親和性が高いツールやプラットフォームにはどのようなものがあるのでしょうか。
ツールやプラットフォームの紹介
CXとは?を考えた際に、顧客に対して、適切にアプローチをする必要があります。
以下の二つのツールは、現在ビジネス市場において、大きなシェアを取得しています。
・Salesforce Service Cloud
・HubSpot Service Hub
Salesforce Service Cloudは、顧客データを一元管理できるプラットフォームです。また、顧客の問い合わせ履歴やサービスの進捗をリアルタイムで把握することができます。さらに、AIによる予測分析機能が搭載されており、問題解決の迅速化や個別化された体験提供が可能です。
HubSpot Service Hubは、Salesforceによるアプリケーションよりも安価に使用することができます。一長一短な側面はありますが、非常に強力なツールだと言えます。
このように、CXを考えた際には、顧客データを一元管理することがスタートだと言えます。
ツールやプラットフォームを活用した成功例
例として、Salesforeceの記事では、アスクルのカスタマーサービスを支えるのは、2012年に導入された「Service Cloud」だとされています。この導入目的として、コンタクトセンターの業務改善と生産性向上だとされています。Service Cloudの導入により、IT部門に依存せず、カスタマーサービス本部が自ら新機能の導入や業務改善を迅速に進められるようになり、顧客対応の効率化や顧客体験の向上が図られているそうです。
このように、CXを高めて、より信頼されるリピーターの多い企業への成長が現代では必要なのかも知れません。
また、アスクルでは、カスタマーサービスの効率化と生産性向上のためにSalesforceのFlow Builderを活用しています。例として、よくあるお客様からのお問い合わせに対し、ワンクリックで適切なメールテンプレートを使って返信を行う機能を構築しました。この自動化により、メール返信業務の約4割に適用され、年間で約980時間の業務時間が削減されるとあります。
また、商品が受領されなかった場合に自動で再配達の案内メールを送信する機能もFlow Builderで作成し、約2~3割の工数削減に貢献しています。こうした自動化により、コーディングスキルが不要でも業務の効率化が進められています。
このように、CX領域は、デジタルと密接に繋がっていることから、「CXとは?」とご疑問を持たれて入られた方にも、他の業務効率化へ繋がっていくこともあります。
これは、ユーザーに対する価値を考えることで、どのような工程であれば、より高い価値を提供をできるのかを考えていく結果だと考えております。
そのため、「CXとは?」は、今あるビジネスの「改善点とは?」に繋がっていくでしょう。
参考:カスタマーサービスの情報基盤として、10年以上にわたってService Cloudを活用
まとめ
この記事では、「CXとは?」を出発として、ご紹介を行ってきました。
CXは、顧客が製品やサービスを検討・利用する過程全体で感じる価値を指す概念で、今後のビジネスに非常に重要な価値観でしょう。
CXを向上させるためのツールには、「Salesforce Service Cloud」や「HubSpot Service Hub」などがあり、顧客データの一元管理やツールによっては自動化機能を提供しています。このようなツールやプラットフォームを導入することで、さらなるCXの改善を図るのはいかがでしょうか。