多くの企業がウェブサイトを通じて商品購入や問い合わせを促進しています。しかし、エントリーフォーム(入力フォーム)の離脱率が高く、コンバージョン率(CVR)の改善が課題となっているケースが少なくありません。
その解決策として注目されているのが「エントリーフォーム最適化(EFO)」です。本記事では、EFOの基本から具体的な施策、役立つツールまで詳しく解説します。
EFO(エントリーフォーム最適化)とは?
EFOとは、エントリーフォーム最適化(Entry Form Optimization)の略で、ウェブサイトやアプリ上の入力フォームを使いやすくするための施策を指します。
ユーザーがスムーズにフォームを入力し、途中で離脱しないようにすることで、問い合わせ率や購入率を向上させることが主な目的です。
例えば以下のような問題が、フォーム離脱の原因になります。
- 項目数が多すぎてユーザーが途中で諦めてしまう
- 入力エラーが分かりにくく、再入力が面倒になる
- モバイル画面でのフォーム操作がしにくい
これらの課題を解決することがEFOの本質です。
EFOで重要なポイントは、「ユーザー視点にたって仮説を立てて、施策を継続的検証できるか」という点です。
エントリーフォーム最適化が重要な理由
EFOは、サイト内の一部だけに影響する施策と思われがちですが、実際には企業全体のブランドイメージやビジネス全般にわたって、次のようなさまざまな影響を与えます。
高いフォーム離脱率がビジネスに与える影響
入力フォームの平均離脱率は約67%といわれています。
サイトに流入したユーザーがメディア運用の目的である購入・申込完了にたどり着くまでには次の流れに沿ってサイト内を進むことが一般的です。
ユーザーは最初の訪問から徐々に離脱していき、最後のコンバージョン地点に到達しないことがよくあります。
そこで、各段階で離脱を防ぐ対策を講じることが重要です。EFO(エントリーフォーム最適化)も、その一環として非常に有効な施策です。
エントリーフォームは、購入や申し込み完了の直前に位置しています。このフォームをユーザーにとって使いやすく、ストレスのないものに改善することで、離脱率を大幅に下げることができます。
アクセス数を増やすことも重要ですが、一般的にコストがかかり、難易度が高いのが現実です。一方で、エントリーフォームに到達するユーザーは、すでに商品やサービスへの意欲が高い見込み客といえます。
せっかく獲得したアクセスを無駄にしないためにも、EFOはコンバージョン率向上において欠かせない施策なのです。
顧客満足度やブランドイメージの向上
ユーザーにとって使いやすいフォームは、「この会社は顧客の利便性を重視している」というポジティブな印象を与えます。逆に使いにくいフォームは、ストレスを与え、ブランドイメージを損ねる原因になります。
検索エンジン最適化(SEO)との相乗効果
フォーム最適化は直接的にSEOに関係しないように見えますが、離脱率の改善やユーザー満足度の向上は、間接的に検索順位にも影響を与えます。
エントリーフォーム最適化の具体的な施策
EFOを実際に進める際に、具体的には次のような施策があります。
入力項目を必要最低限にする
入力項目が多いと、ユーザーは負担を感じ離脱しやすくなります。本当に必要な情報だけを求めるようにしましょう。
より多くの情報が必要な場合、「必須」である項目を明確にして、全項目の入力が不要である旨を表すこともできます。
例:
「会社名」「メールアドレス」「電話番号」のみ必須にし、氏名・住所や備考欄は任意にする。
リアルタイムエラーチェックを導入
入力エラーをフォーム送信後にまとめて表示するのではなく、リアルタイムで通知する機能を追加しましょう。
例えばこちらのフォームだと、未入力の箇所(黄色い矢印)にエラーを表示しています。
メリット:
- ミスの早期発見でユーザーのストレスを軽減
- エラー修正にかかる時間を短くする。
モバイル対応(レスポンシブデザイン)
現在、約70%のユーザーがスマートフォンでウェブサイトを利用しています。フォームがモバイル画面に最適化されていない場合、ユーザーにとっての利便性が大きく損なわれます。
具体策:
- フォーム項目を縦に並べてシンプルにする
- 大きなタッチボタンを採用
ステップ形式フォームの採用
1ページで全ての情報を入力させるのではなく、項目を段階的に表示するステップ形式のフォームを採用すると、ユーザーの心理的負担が軽減します。
チャットボット形式を活用し、コミュニケーションをとりながら回答してもらうことも効果的でしょう。
オートフィル機能を活用
Google ChromeやSafariなどのブラウザが提供するオートフィル機能と連携させることで、ユーザーは自動的に情報を入力できます。
入力する箇所が減ることで、ユーザーの負担を減らせます。
EFOの実施手順
EFOは一度に大きな変更を加えるのではなく、小さな改善を積み重ねていくことや、実施した施策の効果を定期的に検証し、必要に応じて調整を行うことが大切です。
EFOの進め方について、以下の5つのステップで説明します。
1. 分析
LPから入力フォームに遷移し、CVに至るまでの導線を詳細に分析します。
2. 課題の洗い出し
分析結果をもとに、現状の入力フォームにおける問題点や改善が必要な箇所を特定します。
3. 仮説立案と改善施策の決定
特定された課題に対して、効果的な改善策を考案し、実施する施策を決定します。
4. 施策の実行
決定した改善策を実際に入力フォームに適用します。
5. 効果検証
実施した施策の効果を測定し、CVRの改善状況を確認します。
この際、検証する施策は1つに絞るか、関連性のない条件で施策を実施するようにしましょう。
検証する変数を明確に設定することで、CVRの変化要因を特定しやすくなります。変数が不明瞭な場合、検証の意味が薄れてしまうため注意が必要です。
エントリーフォーム最適化でビジネスの成果を最大化
エントリーフォーム最適化(EFO)は、ビジネスの成長に欠かせない重要な施策です。ユーザー目線でのフォーム改善は、離脱率の低下、CVRの向上、そして顧客満足度の向上につながります。
まずは、現在のフォームを分析し、課題を明確にしましょう。その上で、必要な施策やツールを導入することで、目に見える成果が得られるはずです。