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プロスペクト理論とは?行動経済学から学ぶマーケティングへの応用法

2024.10.18

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人はなぜ時に「非合理」な意思決定をするのでしょうか?

こんにちは、Penglue編集部です。ビジネスやマーケティングの現場では、顧客や消費者の意思決定を予測することが重要です。

しかし、伝統的な経済理論が前提とする「合理的な人間モデル」では説明できない行動も多々あります。そこで注目されるのが、行動経済学の代表的な理論であるプロスペクト理論です。

本記事では、プロスペクト理論の基本的な考え方と、その理論がどのようにビジネスに応用できるのかを解説していきます。

プロスペクト理論とは?

プロスペクト理論は、1979年にダニエル・カーネマンとエイモス・トベルスキーによって提唱された理論です。

この理論の基本的な考えは、人間は利益(得)よりも損失(失)に敏感に反応するというものです。つまり、同じ金額の「得」と「損」では、損失の方が心理的に大きな影響を与えます。

そのため、「リスク回避」「損失回避」のために時に不合理でも保守的な選択をとってしまうのです。次にその具体例をご紹介します。

リスク回避

例えば以下の場合、あなたはどちらを選択しますか?

  1. 100%の確率で10万円がもらえる
  2. 50%の確率で20万円がもらえる

この場合、期待値としては両方10万円になるのですが、多くの人は①を選ぶのではないでしょうか?これは②の不確実性を避けたいというリスク回避の傾向が強いことを示しています。

損失回避

次に以下の場合、あなたはどちらを選択肢しますか?

  1. 100%の確率で10万円を失う
  2. 50%の確率で20万円を失う

この場合は多くの方が②を選択するのではないでしょうか?これは②の50%の損失を回避したい感情が強く作用する傾向があることを示しています。

プロスペクト理論で重要な3つの概念

プロスペクト理論をより深く理解する上で大切な3つの概念についてここではご紹介します。

損失回避性(Loss Aversion)

損失回避性とは、前述の通り「損失は利益よりも大きな心理的影響を与える」という傾向を指します。人は、同じ金額でも「得すること」よりも「損をすること」に対して強く反応します。


ある人に「今すぐ1万円をもらえる」と言った場合の喜びと、「1万円を失う」と言われた時のショックでは、後者の方が心理的に大きなダメージを与えます。(失うショックの方が2倍以上のインパクトがあると言われています)

参照点依存性(Reference Dependence)

参照点依存性とは、人は絶対的な価値ではなく、自分が設定した「参照点」(基準点)を基に得失を判断する傾向があるというものです。参照点は、過去の経験や他人との比較、キャンペーン価格などによって変わります。


通常価格1万円のバッグがセールで7千円になった場合、消費者は「3千円お得だ」と感じます。しかし、最初から7千円だった場合はそれほどお得には感じません。また、ボーナスが前年より増えた場合は満足感が高まりますが、期待した金額に届かないとたとえ増額でも不満を感じることがあります。

感応度逓減性(Diminishing Sensitivity)

感応度逓減性とは、利益や損失が増えるほど、その増減による心理的なインパクトが弱まる傾向のことです。価値関数が「S字カーブ」の形をしているため、小さな利益や損失には敏感ですが、規模が大きくなると感覚が鈍くなります。


1万円の値引きは10万円の商品では強いインパクトがありますが、100万円の商品ではそれほど大きな影響を与えません。同様に、1万円を失ったショックは大きいですが、100万円を失った場合、1万円の時の100倍の感情的な痛みにはなりません。

プロスペクト理論を活かすマーケティング戦略

ここまでの話をもとに、具体的なマーケティング施策への活用例をいくつかご紹介します。

損失回避性を活かした施策案

返金保証
商品購入時に「30日間返金保証」を提供することで、消費者は「損をするリスクがない」と感じ、購入への心理的ハードルが下がります。
数量限定や期間限定のセール
「今だけ10%OFF! 数量がなくなり次第終了」と表示することで、チャンスを逃すことが「損失」と感じさせ、即時の購入を促進させます。

参照点依存性を活かした施策案

価格表示の工夫
「通常価格10,000円 → 今なら7,000円!」と、通常価格とセール価格をセットで見せることで、高い参照点(通常価格)からの差を強調することで「お得感」を増幅させます。
送料無料の活用
「あと2,000円で送料無料」と表示し、顧客に基準を提示することで基準点(送料無料条件)を意識させ、無駄な損失を避けようとする購買行動を促します。

感応度逓減性を活かした施策案

段階的インセンティブ(リピート戦略)
「1回目の購入で5%OFF、2回目で10%OFF、3回目で15%OFF」のように段階的な割引を提供することで、小さな利益の積み重ねを意識させ、大きな満足感につなげます。
高級商品のオプション戦略
高額商品を購入するユーザーは、小さなオプションのコストを軽視してくれる可能性があります。そのため、オプションとしていくつか項目を設定しておくことでそれらも含めて購入してくれる可能性があります。

プロスペクト理論を活用する際の注意点

参照点は人によって異なる
顧客の参照点(基準となる期待や状況)は人それぞれ異なるため、セグメントに応じた戦略が必要です。例えば、高級品を普段から購入する顧客と、セールでのみ購入する顧客では、割引の効果が異なります。
過剰な損失回避のリスク
損失回避性に基づく施策は強力ですが、顧客に過剰な不安を与えすぎると、逆に購入を避けられる可能性もあります。例えば、「今すぐ買わないと損する」という圧迫感が強すぎると、かえって信用を失うリスクがあります。

まとめ

プロスペクト理論は、人間の非合理な意思決定のメカニズムを理解する上で非常に有用な理論です。損失回避性や参照点依存性、感応度逓減性などの概念を活用することで、ビジネスにおけるマーケティング戦略や価格設定がより効果的になります。特に、顧客がどのように得失を感じるかを正確に把握することで、購入意欲を高める施策を設計できるようになります。

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