アップセル・クロスセルとは、どちらも顧客単価を高めるための営業手法です。ここでは、2つの施策の違いやメリット・デメリット、施策例などを紹介していきます。
アップセル・クロスセルとは?
アップセルとクロスセルは、既存顧客を対象にした収益最大化のための営業手法です。新規顧客を獲得するよりも低コストで売上を拡大でき、顧客満足度やLTV(顧客生涯価値)の向上に貢献できます。
アップセルは顧客が検討中、もしくは購入した商品よりも上位グレードの製品やサービスを提案し、より上位の商品を購入してもらう手法です。例として、年会費無料のクレジットカードからゴールドカードへのアップグレードがあります。
クロスセルは、顧客が購入した商品サービスに関連製品を提案し、追加購入を促す手法です。
アップセルとクロスセルの違い
目的とアプローチ・タイミング・成果の違いで分けて解説します。
目的とアプローチの違い
アップセルは、顧客に対して、現在検討中の商品よりも「高額な選択肢」を提案する。 例えば4Kテレビを選んでいる顧客に、8Kモデルを提案するなどです。
クロスセルは、顧客の選択した商品に「補完する商品」を提案し、利便性を高めながら追加購入を行います。 例えばパソコンを購入する顧客に、マウスやキーボードを提案するなどです。
タイミングの違い
アップセルは、購入決定前に提案し、より高価格な商品に乗り換えてもらうことを目指します。
クロスセルは、購入中または購入後のタイミングで関連商品を追加提案し、購入体験の拡張を目指します。
成果の違い
アップセルは、顧客満足度を直接上昇させ、顧客満足度売上を同時に上昇させます。
クロスセルは、一度の購入体験を充実させ、顧客ロイヤルティを高めるとともに、再購入率向上にもつながります。
アップセルのメリット・デメリット
それでは、アップセルのメリットとデメリットをそれぞれ3つずつご紹介します。
【アップセルのメリット】
・お客様の利益の向上
・顧客満足度の向上
・営業コストの削減
より高額な商品を選んでいただくことで、お客様からの売上を最大化できたり、顧客が高品質な製品を使用することで、ブランドへの満足感と信頼が上昇します。また、既存顧客への提案は新規顧客を獲得するよりも効率が良く、営業コストの削減につながります。
【アップセルのデメリット】
・価格への抵抗
・強引な提案による顧客離れ
・在庫管理のリスク
反対に、高価格商品の提案が心理的負担を招き、離反につながる可能性もあるので、注意が必要です。
クロスセルのメリット・デメリット
それでは、クロスセルのメリットとデメリットをそれぞれ3つずつご紹介します。
【クロスセルのメリット】
・追加売上の創出
・顧客満足度の向上
・在庫回転率の向上
顧客の購入体験を拡張しながら、1回の取引で売上を最大化できると同時に、製品と相性の良い関連商品を提供することで、満足度を高められます。関連商品をセットで販売することで、在庫品の効率的な消化が可能になります。
【クロスセルのデメリット】
・過剰な提案による反感
・提案のタイミングの難しさ
・組み合わせる商品選定の難しさ
顧客に不必要な商品を勧めることで、逆に不信感を与える可能性があるので、注意が必要です。
アップセルを活用した施策例
アップセルを最も効果的に活用できるのは、顧客が購入を進める中で商品への購入モチベーションが高まっている時です。
ここではアップセルの活用例をご紹介します。
サブスクリプションプランのアップグレード
無料期間で顧客にサービスを体験してもらい、正式なサブスクリプションやプレミアムプランへの移行を促進する施策です。顧客にリスクなく試用してもらい、満足度を高めることで移行率を高めることができます。
上級グレードの推奨
例えば、自動車ディーラーで、標準モデルからハイブリッド仕様へのアップグレードをご提案し、顧客満足度を高め売上を向上させます。
定期購入へ促す
健康導入食品などで、単発購入から定期コースへの移行を提案し、安定したリアルタイム基盤を構築します。
クロスセルを活用した施策例
クロスセルを最も効果的に活用できるのは、顧客が購入決定をした直後です。
ここではクロスセルの活用例をご紹介します。
バンドル販売の導入
バンドル販売とは、関連商品をセットにして提案し、一度に複数の商品を購入してもらう戦略です。顧客が必要なものを個別に選ぶ手間を省き、「この組み合わせで大丈夫かな?」という不安を解消します。互換性が考慮された提案ですので、購入の検討が緩み、決断がスムーズになります。
例えばカメラとレンズ、モニターと変換ケーブル、ホースとアタッチメントなどです。顧客の満足感と企業の利益を両立させる効果的な手法です。
レコメンド機能の活用
ECサイトで「この商品を買った人はこんな商品も買っています」という表示を行い、追加購入を検討します。
飲食店でのセット提案
ハンバーガーと一緒にポテトやドリンクを提案することで、自然なクロスセルを実現できます。
施策を成功させるポイント
売上拡大だけを狙ってアップセル・クロスセルを考えても、逆効果になってしまいます。
ここでは、成功させるための3つの重要なポイントを紹介します。
顧客データの活用
購入履歴や嗜好に基づいて、パーソナライズされた提案を行いましょう。
人力だけでは限界があるため、CRMやSFAツールを活用し、効率的に増加していくことが重要です。
最適なタイミングでの提案
製品の活用状況や顧客の課題をじっくり理解し、最適なタイミングで提案することで、顧客の満足度を高めながら売上を伸ばすことができます。
KPIを設定し、PDCAを回す
売上や顧客満足度の改善を指標として効果を測定し、改善を繰り返します。
さいごに
セルアップとクロスセルは、顧客満足度を高めながら売上を向上させる強力な手法です。タイミングよく提案を行い、信頼関係を築かせて、LTVを向上させ、長期的なビジネスの成長につなげましょう。