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バリューチェーンとは?サプライチェーンとの違いや分析方法を解説◎

2024.11.8

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ビジネスの世界で、企業が競争優位を築くための方法のひとつとして「バリューチェーン」という概念が広く活用されています。バリューチェーンは製品やサービスの提供プロセスを体系的に見直し、改善するためのフレームワークです。

この記事では、「バリューチェーンとは何か?」をテーマに、その基本概念からサプライチェーンとの違い、実際の分析方法、さらに活用事例までを詳しく解説します。

バリューチェーンとは?サプライチェーンとの違いは?

とは?
バリューチェーンとは、企業活動を「価値連鎖」として捉えています。つまり、企業活動における各業務はそれぞれ「価値」を創っていて、その価値は別の価値と複雑に絡み合って連鎖されているという考えです。

この概念は、ハーバード大学経営大学院教授であるマイケル・E・ポーター氏が提唱し、企業の競争優位を築くために多くの企業で取り入れられています。

具体的には、企業の事業活動を「原材料調達」「製造」「流通」「販売」「アフター」 「サービス」に分類し、それぞれの活動が生み出す価値を見える化します。すると、自社の付加価値は何か、強みと弱みはどこにあるかを知れるので、事業戦略や経営戦略を探り、改善する為に大変効果的です。

サプライチェーンとバリューチェーンの違い

混同されやすい言葉として「サプライチェーン」があります。

サプライチェーンとは、製品やサービスが顧客に届くまでの「供給連鎖の流れ」を指します。これは、原材料の調達から製品の製造、流通、販売、そして最終的に顧客に届くまでの供給の流れを一貫して管理することで、効率化と最適化を目指すものです。

例えば、自動車製造業では、自動車部品の原材料メーカーからメーカーまでの一連の流れを効率的に管理し、必要な部品がスムーズに供給されるようにするのがサプライチェーンの役割です。

バリューチェーンとサプライチェーンは、言葉は似ているものの、どこに焦点を当てるかが大きく異なります。

サプライチェーンは「効率化」に焦点を置き、モノやフローを最適化することで企業全体の供給プロセスを改善することを目的としています。

しかし、バリューチェーンは「価値創造」に焦点を置き、どのプロセスでどのようにして顧客重視の価値が創造されているかを考えます。バリューチェーンとサプライチェーンの目的は異なりますが、両方の概念を正しく適切に扱うことで、企業は競争優位の構築に役立ちます。

バリューチェーン分析の構成要素

構成要素
バリューチェーンは、企業の事業活動を「主活動」と「支援活動」の二つに分けた構造を基本としています。それぞれの活動について解説します。(製造業の場合)

主活動 支援活動
購買→製造→出荷・物流
→販売(マーケティング)→サービス
・全体管理(インフラストラクチャー)
・人事、労務管理
・技術開発
・調達

主活動は、製品やサービスの創造から顧客に提供されるまで、価値を直接的に生み出す連続の活動を指します。

支援活動は、一連の流れには直接的には関わらず、主活動を支援する活動を指します

主活動と支援活動を適切に管理・分析することで、企業は効率的な価値創造が可能となり、競争優位を確立できます。

バリューチェーン分析のメリット5つ

メリット5つ
バリューチェーン分析は、企業活動を機能別に分類し、各活動がどのような価値を創出しているのか、判断するためのフレームワークです。

以下は、バリューチェーン分析で得られる主なメリットです。

1.各事業活動におけるコストが明確になる

バリューチェーン分析を行うと、事業活動ごとのコストが明確になります。全社的なコストを俯瞰することで、無駄なコストを洗い出し、削減することが可能です。これにより、製品やサービスの質をまた、各活動間でのコストの連鎖的な影響も明らかになるために、全体最適化を図りながら効果的にコスト削減を進められたいます。

2. 自社の強みと弱みを把握できる

バリューチェーン分析では、各活動の付加価値を確認することで、自社の強みと弱みを明確に理解できます。これにより、競争優位性が発揮される強みをさらに強化することが可能になります。また、改善が必要な弱みを減らし、経営戦略や事業戦略の見直しを行うことで、より堅実な企業基盤を築くことができます。

3. 競合他社の戦略を予測し、先手が打てる

競合のバリューチェーン分析を行うことで、競合がどの活動で価値を守っているのかが明確になります。また、競合の戦略や戦略市場の動向を予測することにも役立ち、競争優位性を確保するための基盤となる。

4. 経営資源を正しく再配分できる

限られた経営資源を効率的に活用するために、バリューチェーン分析は非常に有用です。各活動の貢献度に応じて資源を最適に配分し、優先順位を客観的に確認できるため、企業価値どの活動に資源を集中させるか、あるいは削減すべきか明確にし、戦略的な資源の再配分が可能です。

5. 製品の付加価値を高め、利益を最大化できる

各活動が生み出す価値とコストを考えることで、最終的な製品の付加価値を高められます。無駄なコストを削減し、価値創造の高い活動にリソースを集中することで製品の付加価値が高ければ、競争が激しい市場でも顧客の支持を得やすい体制になり、収益性の向上が期待できます。

バリューチェーン分析のやり方

やり方
実際にバリューチェーン分析を行う際には、どのような手順で進めていけばいいのでしょうか。

ここでは、分析のやり方について解説していきます。

STEP 1:自社のバリューチェーンを図式化する

まず、自社の事業活動を「主活動」と「支援活動」に分けて、各活動を図に表します。
製造業の場合の主活動と支援活動は以下の通りです。

主活動:購買物流、製造、出荷物流、販売・マーケティング、サービス
支援活動:留意事項、会計、人事、技術開発、調達

「主活動」を細分化できたら、それぞれの活動について、優位性を書き出しましょう。例えば購買物流であれば、納入までの時間が短いなどです。

STEP 2:コストを把握する

次に、図式化したバリューチェーンの各活動におけるコストを明確にします。
エクセルなどを使って、活動ごとのコスト一覧表を作成するとわかりやすくなります。これにより、無駄なコストや収益性の低い活動が見えてくるため、効果的なコスト削減になります。

STEP 3:自社の強みと弱みを認識する

各活動ごとに、自社の強みと弱みをリストアップします。
同様に、特定の製造工程で高い品質を誇るスキルが強みであれば、それをさらに強化して競争優位を築くことが可能です。反対に、改善が必要な活動も浮き彫りにし、対応策を検討します。このステップでは、多くの部門や関係者を巻き込み、客観的な視点で分析を行うことが大切です。

STEP4:VRIO分析を行う

STEP 3で把握した強みをさらに深く評価するために、VRIO分析を行います。
VRIOは、Value(価値)、Rareness(希少性)、Imitability(模擬可能性)、Organization(組織)の頭文字で、それぞれの視点から自社の強みを評価します。

・Value(価値):その強みが外部の機会に対応できるか
・Rareness(希少性):その強みが他の企業にとって珍しいか
・Imitability(模倣可能性):一般競争が簡単に真似できないか
・Organization(組織):その強みを最大限に活用できる組織体制があるか

4つすべての評価が高い強みは「競争優位」を築く要素となり、改善が必要な要素が多い場合は「競争劣位」として、改善政策の検討が求められます。

STEP 5:経営資源を最適化する

STEP4までの分析をもとに、企業価値を最大化できるよう経営資源の配分を検討しなおし、自社の経営資源をどの活動に優先的に投入すべきか検討しましょう。

さいごに

さいごに
このように事業内容を機能別に分類して機能別に強みや弱みを明確にすることができるのが、バリューチェーン分析です。自社の強みと弱みを改めて洗い出し、競合優位性を高めるためにぜひ活用してみましょう。